田園に建つ町屋

         
 お客様の想いと、
 設計者の想いが
 地元の工務店と、
 数多くの、心を同じくする
 職人達の手で
 ここ、加賀の地に実現した。
         
 2009年8月完成         
            
 石川県加賀市
 設計・デザイン:田園都市計画舎
 施工:有限会社 中野工務店
 上記の正面はシンプルに、
 あえて建物のコンセプトを
 見せない造り。
         
 後部へ回ると、
 シンプルではない間取りが
 明らかに。
         
 
         
 玄関へ一歩踏み込むと
 正面から想像できない、
 しっとりとした町屋的空間が
 現れる。
         
 格子戸を開けると
 そこには意外と明るいリビングが
 出現する。
         
 正面に見える家具は、
 地元の家具職人が造った
 収納壁。
         
 対面ではない、囲まれ感のあるキッチンは
 使いやすく、
 リビングとのアクセスも容易だ。
         
 リビングに突き刺さるようなイメージの
 和室。
 町屋の奥に存在する茶室をイメージし、
 その外観も景色の一部としている。
         
 京間サイズの四畳半は
 畳の敷きかたを変えれば
 実際茶室として使うことも可能だ。
         
 茶室に住む という贅沢。
         
 蜜蝋ワックスで仕上げた襖を閉めると
 リビングとはまったく違った
 ひとつの部屋ができあがる。
         
 床の段差は40センチメートル。
 ちょうど椅子の高さであり
 腰掛けてくつろぐこともできる。
         
 開閉によってその表情を
 まったく別のものに変える。
         
 「扉で仕切る」という日本のスタイルを
 現代的にアレンジした空間だ。
         
         
  常時開けておくことを考え、
 襖は2枚ともしまい込める形に。
 間取りの関係から一方の引き込み先がなく、
 このように、引き回す方法を採用。
         
 床の間に見立てたガラス窓。
 光がさし込む床の間は
 その光、景色も
 床を構成する要素と考えた。
         
 台杉仕立ての若木が育ってゆくのも
 景色の一つとなろう。
         
         
 2階から眺める和室も
 景色のひとつと考える。
 
 リビングから見る和室は
 ひとつの室に和室が突き刺さるような
 イメージ。
         
 外から見る和室は
 母屋の一角にこしらえた
 茶室をイメージしている。
         
 黒光りする小松瓦の母屋の中で
 ここだけが違う存在であることを
 緑青色の鉄板葺きで表現している。
         
 リビングから眺める庭は
 町屋のそれに近い囲まれ感がある。
 
 田園地帯という広々とした空間に
 出現した異空間。
         
 大工が造った大和塀は
 視線を遮りながら、
 心地よい風を建物に取り込む。
         
 ぬれ縁越しに見える庭は
 塀の向こうにある部屋と共有しながら
 視線を合わせない工夫を施す。
         
 庭園工事も、地元の造園屋が施工している。
 ダイナミックな梁は
 地松を使用。
         
 手刻みの技をずっと残してゆく
 スタイル、
 伝統工法を今に伝え、
 未来へと残していってくれる
 大切にしなければならない
 工務店のひとつだ。
         
 寝室とクローゼットの境は
 あえて別の部屋とせず、
 黒漆喰の壁のみで仕上げた。
         
 これから取り付けられるであろう
 オーガンジーのカーテンが
 さらにこの黒壁を強調する。
         
 小窓から見える田園風景と
 その向こうに見える倉掛山、白山。
         
 小さく切り取られた景色は
 一幅の絵のように 映える。
 
         
         
 白壁と土色の壁に
 ヤマボウシの緑と
 青空が美しい。
         
 土壁に映る木漏れ日も
 デザインのひとつとなってゆく。
         

       


      

        

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